【書籍紹介】50歳からは「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の上手な終わらせ方(後編)
ユニキャリアの考えに近いと感じてご紹介した【50歳からは「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の上手な終わらせ方(著者:大塚寿)】の後編です。
「50代はもっとわがままになれ」という著者のメッセージに共感
“本書で最も伝えたいメッセージは「50代はもっとわがままになれ」だという著者のメッセージに大きく共感しながら、今回もいくつかピックアップしてコメントと合わせてご紹介します。
1. 50歳を過ぎたら「何を手放すか」から考える、という発想はどうでしょうか
部門トップや役員を目指す以外は、苦手克服思考から得意なものに集中して勝負しようと著者は説きます。勉強したいのは止めませんが、ここまで生きてきて、仕事の範疇に関わらず十分に体得したものがあると思います。それをベースに今後もさらに無理なく積み上げ、活用できるスキルを特化して磨いて活かしていくのがいいと、私も思います。
2.55歳からは「責任」を手放す、というのは無責任になるということではありません
役職定年は、その役職に付帯していた役割から解かれるというだけのことです。会社からの期待を失ったのではなく、期待が変わったことを理解しましょう。会社の責任を担うということは、会社の判断での評価を追っていくことです。いつかこの会社を離れる日のためにも、会社の判断を客観的に俯瞰しながら仕事をするのは、移行期としていい機会だと思います。。
3.「名刺なし」でも、自分について語れるようになっておくことは本当に大事です
ここでは「元部長」の名刺を配り歩く勘違いエリートの紹介がなされていますが、私も退職後10年近くその類の名刺を使っている人を知っています。正直なところ、この名刺には物悲しさを感じます。
50代になったらなんて悠長なことは言わず、何歳であっても、ある意味で威力ある企業名刺なしでも自己紹介ができるようにしておくことが大切だと思います。会社や役職は、私たちの人生の一部でしかありません。そして「あなた」は、それらがなくても十分に魅力的です。語りの磨きは念入りに。
4.60歳までに「五つ以上の居場所」を持っておく。それもそれぞれのコミュニティで「違ったキャラクター」を演じることが重要です
会社では「厳格な上司」でも趣味のテニスコミュニティでは「素直に教えを乞う初心者」、地域のコミュニティでは「気軽に冗談を言う明るい人」など、複数のペルソナ(仮面)を使い分けることは、心の健康のためにも必要だとのこと。ちなみにユニキャリアが運営する「未来航路塾」は、友達でもなく、仕事関連でも出会わないような人たちと、「共学」「共遊」しながら、この場で出会ってこそ生まれた”気づき”や”繋がり”をとおして、自らの人生を深耕してくコミュニティ。一つの選択肢として検討いただけたらと思います。
5.あえて「アウェイ」の中に飛び込むことは、自分の世界を広げることに繋がります
いつもと違うメンバーがチームに入ることで、仕事の議論や進め方がスムーズになったり逆になったりします。いつもと同じということは、進化を止めるどころか、マンネリの先の怠惰に向かうことすらあります。著者によればそれは人間としての鮮度が落ちることにもつながるとのこと。あえて「異質の中に飛び込む」ことで、今まで見えなかった世界が見える可能性を楽しみましょう。
6.結局、「面白いこと」をやっている人の周りに人が集まることに納得します。
世間で受けそうだからとか、流行っているからという理由ではなく、「自分が面白いと思うことを、面白がってやっている」人の周りには、それらを面白がる人たちがいます。人はいくつになっても面白いことが好き。「ちょっとバカげているけど面白い」ことをどんどん発信していこう!に賛成です。
7.50代からの勉強は「何はともあれアウトプット」というのは、息を吐けば吸う”呼吸”と同じではないでしょうか
アウトプットすることで、私たちは新たに何かを入れようと体が動くはず。アウトプット大全(サンクチュアリ出版)の中で、インプットとアウトプットの黄金比は3:7と書かれているというのも感覚的に納得します。インプットして精査してからアウトプットなんていう学生時代までの勉強とは違います。アウトプットしながらインプットする流れを習慣化したいものです。
8.仕事モードはNG!50代に求められる「自分プレゼン力とは?」
実は50代からの人間関係においては、初対面の人が増える。そんな人たちに対して、あなたは端的かつ効果的な「自分プレゼン」ができますかと著者は冒頭で問います。しかも居心地のいいホームに限りません。アウェイでの初対面という場面も増えそうです。聞こうとしてくれるばかりでなく、まずは関心を寄せてもらうところから始めるケースもあるでしょう。
そんな時に必要となるのが「自分は何者か」を端的に話すスキルとのことですが…ちょっと待って。自分は何者か言語化できるでしょうか。会社の名刺のみで自身のアイデンティティを保持するような生き方はしていなかったとしても、この問いにスルスルと答えられる人は多くはない印象です。これまで求められることもなかったですし、自然なことです。
そんな方には、「未来型プロフィール作成講座」をおススメしたいです。自らの在り方や期待に過去の経歴等を繋げて言語化するプロフィールは、これからのキャリア開発の一助になります。その先に、著者の言う「初対面で好かれるプレゼンのコツ3つ」が役立ってくるでしょう。こちらも参考まで。
「初対面で好かれるプレゼンのコツ3つ」
- サービス精神を発揮して、相手が聞きたいことを話す
- 感情移入させる中でも、できた武勇伝よりも失敗などのマイナス面を話す
- 表情は笑顔
+1. 50代で後悔していることのトップ3
最後にコラム内で紹介されていた50代で後悔していることのトップ3をご紹介します。
【1位】定年後の人生設計をしておくべきだった
【2位】仕事のモチベーションがどうしても湧かなくなってしまった
【3位】組織の名前ではないアイデンティティを確立できていなかった
さて、いかがでしたでしょうか。1万人を超えるインタビューを実践してきている著者ならではのリアリティある内容だと感じました。
今回は6章あるうちの後半の4章をご紹介しました。
第3章:50代で必ず手放すべき6つのこと
第4章:転職・再就職…定年後のキャリアで後悔しないために
第5章:すべての「人間関係」を50代で再構築せよ
第6章:50代で「一生勉強する自分」を手に入れよう
前編と合わせて、ご自身のこれからを考える切り口としてご活用いただけたら嬉しいです。
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