経験者は語る。管理職に挑戦する価値と大切にすべき一つの適性
私が女性が管理職になるべきだと考えるいくつかの理由
前回、女性の半数超が「管理職になりたくない」と考えていることについて書きました。組織の問題、個人の問題と軽く触れたのですが、今回は、管理職経験者の視点から言及します。
おさらいすると、女性が管理職になりたくない事由として以下の点を挙げました。
・成長意欲がないわけではない
・ライフイベント(育児や介護)を吸収する仕組みは整いつつあるが、それでも吸収できないことがある
・管理職になることで、今ある仕事のやりがいをさらに高める可能性があると考えづらい、またはそうは思えないロールモデルを見ている
・従来の(男性優先の組織における)管理職イメージが強い、または求められており違和感を覚えている
・インボスター症候群といわれるような自身の過小評価してしまう傾向がある
最初に結論を言うと、私は女性の管理職が増えてほしいと思っています。いや、増えるべきだと強く思っています。理由はいくつかあります。
- 自社の他部門、中枢の動きを知って動けるようになる
- 理解できない会社都合の背景を(従来よりは)知ることができる、理解し、対策を立てやすくなる
- 個人を超えた仕事を成すダイナミズムを感じることができる
- メンバーの育成と連動した自身の成長を得られる
- 権限により仕事のできる範囲が増える
- (形式的な)相談や承認のための時間を減らせる
- 従来の男性優先で設計された組織を変えるのに、男性だけではなくその他の性も参画すべき
実際に管理職を経験して感じたこと
私は、転職ごとに年収やタイトルを上げていくステップアップ系ではない転職をして、10番目の会社でひょんなことから管理職となりました。一つの会社で実績をあげながら昇格試験を経て管理職になった経緯ではありませんが、管理職当時に感じたことなどをお伝えします。
やってみなければわからない
転職して2カ月ほどたったころ、10数人のメンバーの上長という内示を受けました。
当時の会社に入る1年ほど前には、同数ほどの会社で年齢が一番下、入社時期も一番最後と、皆の後をついていたような私が、この組織では入社が一番遅いことは同じながら年齢が一番上で管理職になるということを意味していました。未経験の事業の管理職です。
とっさに出たのは「え、それはむりです」でした。するとその役員は言いました。「やってみなきゃ、わかんないでしょ」
顔から火が出るくらい恥ずかしかったのを覚えています。これまでコンサルティングで関わる企業のマネジメント層に「やってみなきゃわからないじゃないです!やりましょう!」と声をかけていた私です。自分のこととなると尻込みしていたことに気づきました。
次の瞬間に声が出ました。「そうでした、失礼しました。やります」。
会社の方針、意図に触れられる
「何を考えてこういう方針を出すんだろう」という背景を知る場(会議)に出席することができることで、方針の背景や、誰がどう考えているかなどをも知ることができます。
会社への提案&決裁ルートが近くなる
当時、組織内で出産後も働くというメンバーが出ましたが、創業40年近くの会社ながら過去に育休を取得して復帰した女性はいませんでした。制度はすでに数年前に整備されていましたので、運用ルールを人事部と調整して、初の育休復帰を果たしました。
大げさに言うことでもありませんが、一社員の声ではなく組織としての意味や運用について議論し、提案できる位置にいることで、要望等を実現できる可能性は格段に上がります。
社内で動きやすくなる
他部門の状況、情報を知ることができ、さらにはキーマンとの接点ができることは社内で連携する仕事をするときに役立ちます。交渉等も自分でできるため、うまくいってもいかなくても納得感は高いです。
権限により仕事の自由度が高まる
会社により権限規定の内容に幅があるとは思いますが、一般社員の時に比べれば、説明のつく判断をしている限り規定内のことに横槍は入りません。管理職のレイヤーにもよりますが、自分で決められる範囲が増えるほど、相談や決裁のための時間を待つ必要がなくなります。
仕事のダイナミズムを味わえる
自分で学び、経験して血肉にしてきたことを背景に実績を積み上げていくやりがいは、何物にも代えがたいと思います。しかし、自分の考えや経験以外のことを掛け合わせて作り上げる仕事の充実感も、それに勝るとも劣らないといえます。もちろんチームワークや個々人の成長支援など、マネジメントとして難しい問題や課題もセットでついてきますが、それも含めた仕事のダイナミズムは相当です。
「よりよく変化する状況に携わりたい」と思っているあなたへ
いかがでしょうか。誰もが得られるポジションではありませんが、自己成長を望む人、組織や会社の成長、変革を求める人には、ぜひ挑戦してもらいたいと思います。
多様な感性や意見、提案が会社の中に内包されていくことで、会社は変化していきます。よりよく変化する状況に携わりたいと考えたら、すでにその力はあなたの中にあると言っても過言ではありません。
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