プランド・ハップンスタンス〜新しく「得る」在り方
先日、同世代のミドルシニアと話をしていた時に「プランド・ハップンスタンス」についてやりとりしたことが興味深かったのでご紹介したいと思います。
プランド・ハップンスタンスとは
プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance)は近年話題のキャリア論です。
1999年にスタンフォード大学の教育学と心理学の教授であるクランボルツ教授によって提唱された 「キャリアは偶然の要素によって左右されるものが多く、偶然に対してポジティブなスタンスでいる方がキャリアアップにつながる」という考え方のことです。
キャリア選択を支える3つの判断軸
そんな楽観的でいいの?と思われる方はキャリア・アンカーという概念の方が身近だからかもしれません。
こちらはアメリカのマサチューセッツ工科大学で組織開発、キャリア開発、組織文化の分野で活躍されるエドガー・H.シャイン教授(組織心理学者)が提唱しているキャリア形成の概念です。アンカーとは錨のことであり、船が停泊するときのおもりで動かないことから「人がキャリアを形成する際の根源になるもの」を指し、大事にしたい3つの要素(コンピタンス、動機、価値観)がキャリア選択の際に判断軸になるというものです。
これはユニキャリアでも大事にしていることで、
- 自分の経験や知識、関心領域から発揮できる「コアコンピタンス」
- やりたい、気になって仕方がない「動機」
- 在りかたや、関わり方などの「価値観」
は、その人の今を確認するため、さらに未来を展望するために重視しています。シャイン氏が提唱した8つの類型なども参考にしながら自分のキャリアの展望にどんな意味や意義を見出すのかは、自身を客観視するのに役立つ大切なことだと考えています。
また、この書籍「Ikigai~The Japanese Secret to a Long and Happy Life~」で表現された生き甲斐についてのベン図を見たことがある方も多いでしょう。
「生き甲斐」に真剣に目を向けたい
ここで描かれた生きることの喜びや張り合い、生きる価値にあたる「生き甲斐」は、ミドルシニアが意識しすぎてもし過ぎることはありません。なぜなら、これまで学び、仕事、交友関係を「得て」きた前半とうって変わって、人生の後半戦ではそれらを「失う」ことに直面することが多いと考えるからです。
ただし大事なのは、これまで「得た」もののうち「失う」ものがあっても、今からでも「得て」いくものはたくさんあるということ。むしろそれをこれまで以上に求めていくことが必要なのではないでしょうか。
概念が理解できたとして仕事へのモチベーションが上がったり成果がついてくるわけではないですし、なにかを「得て」いくための機会をどうつかむかという問題に目が向きますね。
ミドルシニアにこそプランド・ハップンスタンスをお勧めしたい
ここで話を戻して「プランド・ハップンスタンス」ですが、私の実感として経験知として手放しで推奨したい考えです。
キャリア・アンカーは確かに大事です。でも、それだけに重きを置く必要はありません。
ビジネス環境に留まらず社会が目まぐるしく変化している昨今。そんな中で我々ミドルシニアは、前例のないビジネスパーソンのキャリアロードの先頭グループを駆け抜けているのです。「周囲で起きること、身近で遭遇する偶然の出会いや機会をを味方につけてキャリアアップに繋げていく」というプランドハップンスタンスが重要視されているのは、とても時代的であり、私たちの人生にとってもポジティブな風を起こしてくれそうだと思いませんか。
プランド・ハップンスタンスにおける3つのポイントと5つの行動指針
プランド・ハップンスタンスには3つのポイントがあります。
1.個人のキャリアの8割が予想すらできない偶然の出来事によって左右されている
2.偶然の出来事を本人が主体的に活用することでキャリア形成につながる
3.偶然への遭遇を待つのではなく意図的に生み出せるよう積極的に行動することが大切である
さらに以下の5つを行動指針として掲げています。
①好奇心
②持続性
③柔軟性
④楽観性
⑤冒険心
いかがでしょう?これぞ人生の後半戦を自分の手でドライブするための要素と言えるのではないでしょうか。
この行動指針が大切だとして、どうしたらそれらを持ちうるのかーそんなことを同世代ミドルシニアで語り合った継続議論のテーマ。
折を見て続きをまたご紹介していきたいと思います。
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