体験のススメ〜演じることはその役の人生を生きること
ユニキャリア主催のイベント「演劇人が伝授する秘宝のワークショップ オトナクラス(全3回)」が3月27日(月)に開講しました。
「学生時代は演劇部だった」「一度、演じるということをやってみたかった」、そんな方にお勧めしたワークショップです。
人生経験を重ねたオトナだからこそ
実はご案内しながらも実際のところ需要はあるんだろうか???と少々訝しげに構えていました。なぜなら周囲でこんな声を聞いたことが皆無だったから。演じる自分の舞台を見に来てほしいと言われたことも、プロを除けば10年以上前に1度あったきりだったからです。
ところが蓋を開けてみれば、当日は1名を除いて私を含む50代の男女が揃って計7名が集まりました。
今回のワークショップはストレッチや発声練習をするのではなく、”演じることはその役の人生を生きること”を稽古します。
そのメソッドはプロでも知らない人がいるという、まさに知る人ぞ知る「ベラ・レーヌ・システム」。100年前にロシア人の女優が亡命したパリで開発したものです。
日本人として最初にベラ・レーヌ女史に師事したのちに帰国して、長年日本で指導してきたのが岡田正子さん。宝塚歌劇団などでの指導の他、俳優たちへの厳しい直接指導も献身的に展開されていたと言います。
彼女に師事したのが、今回の講師である雨蘭咲木子(ウランサキコ)さんです。クラスに参加された中には坂東玉三郎さんや賀来千香子さん、川平慈英さんなどさまざまに”演じる”方々がいらしたそうです。
この岡田さんから指導の許可を得た数人のうちの1人であるウランさん。現役の俳優、声優でありながら後進の指導歴も長く、高い評価を得ています。現在、俳優や声優の養成所でのみで講師をされていますが、プロを目指す若年層の指導をしながら、人生経験を重ねたオトナならではの演技指導をしてみたいと思っていたところで出会ったのがユニキャリア。今回のワークショップ開催の運びとなりました。
心の中のセリフに耳を澄ます
このメソッドは10数回分の内容があるようですが、今回はそれらの土台ともいうべき一番大事な【心の中のセリフ】の稽古でした。
心の中のセリフとは、何をしていようと心の中で流れている言葉。仕事をして集中している(と認識している)時にさえ、「お腹がすいてきたなぁ」「救急車の音だ」「わかりづらい資料だなぁ」「週末、どっか行きたいなぁ」「あぁ、腰が痛い」など、行動とは関連のない言葉が浮かんでは消え、消えては浮かびます。さらに無意識に背筋を伸ばしたり、鼻を触ったりなど人の心身は止まることがありません。それが人間です。
演じることはその役の人生を生きること。
セリフを読んで会話をすること(だけ)ではないということを示しています。セリフを読む人の心の中でどんな言葉が流れ、どんなしぐさや行動が付帯するかを考える…これが今回の稽古でした。
座ったままほとんど動くことはありません。セリフなど1つもありません。ただ設定された人、状況に浸る…それだけです。
宿題は人の「観察」
そして、次回の1週間後までの宿題が言い渡されました。表面的にサラっと見える動作・表情・言葉の奥に流れる思考や感情を感じ取る練習です。自分自身や電車内で前に座る人、テレビや映画の役者からそれらを窺うこと。
言い換えれば「日常の無意識を意識化する」ことに他なりません。3回をとおして、どんな世界が見えてくるか…ただそれを楽しみに宿題も忘れず次回へ向かいます。
好奇心の人たちへ。1回でも参加可能です!
最初の自己紹介の際に、参加者の中の男性2人が劇団に入っていると言いました。もう、本当にビックリです。学生時代に演劇部だったわけでなく定年前に何か趣味を見つけようと思ってという人、なんか面白そうだと思ってという好奇心の人。いらしたんですね、こういう方々。
そしたらこんな募集が目に入ってきたじゃないですか!
劇団俳優座と東京新聞社がタッグを組み演劇の魅力を体感してもらう講座「いきなり俳優!なりきりロミジュリ」。
特設ページにも書かれていますが、「演劇は健康にいいともいわれる腹式呼吸で、せりふ覚えに脳を使い、表情豊かになる」ものというのは理解できます。さらにユニキャリア主催のイベント「演劇人が伝授する秘宝のワークショップ オトナクラス(全3回)」では、自分を知る、自分や他人の気持ちに敏感になる、理解できるようになるなどの変化への期待が持てます。
今回はトライアル企画で3回限りですが、1回だけでも参加できます。気になる方は是非こちらからお申し込みください。
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