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【ニュースを見る】管理職に就きたくない女性たち〜多様な人が働きやすい職場を

10月25日(月)日経新聞朝刊の女性欄に、[転職サイト「女の転職type」を運営するキャリアデザインセンターの調査で、女性の半数超が「管理職になりたくない」と考えていることが分かった]と掲載されています。

この類の調査は定期的にあちこちで行われ、それぞれ丁寧に分析などされているので、正直なところ内容に驚きはありませんが、いまだにこの見出しが出ることにため息が出ます。さすがグローバル・ジェンダーギャップ指数(世界男女格差指数)が120位(156カ国中)の国だとぼやきたくもなります。

女性管理職増加施策がイマイチ進まない理由

ダイバーシティの1丁目1番地は女性の活躍と言わんばかりに、多くの企業が女性管理職を増やそうとしています。しかし、実態としてどんどん増えている感じはありません。業種によっては中小企業や小規模事業者で、女性の責任者が自然な形で存在しつつある感もありますが、大企業、中堅企業では、まだまだお目にかかりづらい状況です。女性が大半の企業でも、管理職や役員はすべて男性という企業もざらに存在しています。

過去、管理職への打診をされたという当事者から実際にこんな声を聞きました。

・管理職という役職を担うほどの能力はない、自信がない

・管理職になると多忙になる、これ以上は無理

・管理職ということで、目立ってしまうのが嫌だ

その任を受けた人もあれば、数年にもわたって断り続けている人もいます。「管理職になって自分のやりたいように仕事をしたい!」という男性の声とは一線を画します。ここでは、管理職の経験を反映して、2つの視点からお伝えしたいと思います。

1.なぜ女性が管理職になるのを嫌がるのか〜組織の問題

ひとつめは、「なにが管理職になりたくないという状況を生んでいるのか」という組織の問題です。

最初によく聞かれるのは、「女性には成長意欲がない」「上昇志向がない」ということですが、これには違和感を覚えます。100歩譲って、”男性のような”成長意欲や上昇志向がないかもしれませんが、本質としては持ち得ていると考えています。

それを証拠に、上のような発言をした彼女らは、ひと昔前に言われた腰掛仕事をしているわけではありません。むしろ専門職だったり、プロジェクトを前面で回していたり、部門の底支えとなるような大役を果たしている人たちです。言ってみれば、仕事にノッている状態です。そんな彼女らが拒否する理由のうち、よく聞く例を挙げてみます。

①結婚や出産などのライフイベントを迎える時期と重なり(30歳前後)、公私の両立がしづらい
②育児や介護で休んだり、時短勤務では担えない
③単純に、今の仕事から離れたくない
④ああいう管理職にはなれない(なりたくない)

①・②について

これらは「令和の時代でもそうなのか」と暗澹たる思いです。

ここ数十年をかけて、社会は男性基準のシステムを改善してきています。結婚しても子育てしながらでも仕事をするのが一般的になっていますが、相手も同様に反応するのでしょうか。働き方改革の一環で、無理な残業などもなくなってきています。また、時短勤務などの整備も男女ともに整ってきています。

こんな状況でひとりやふたりの個別反応ではなく、女性という属性が拒否するのだとしたら、制度が制度として運用されていない、当事者が制度を心理的に利用しづらい状況になっていることを疑う必要があるかもしれません。時短でも、リモートワークでも担える管理職のカタチをつくっていくことこそ、真の目的であるダイバーシティの推進だと思うのですが、いかがでしょうか。

③について

これに関しては、管理職=今の仕事を離れるのではなく、仕事自体をアップデートすることをとおして、今よりもっと仕事が充実し、成果を上げてやりがいを持つことのできる可能性があることを、当人は知っておいて損はないと思います。

企業としても、男女問わず当事者の役割認識の理解促進に努める必要があると考えます。

④について

従来の(男性中心だった)自社の管理職の在り方を疑うことなく女性を適用させようとか、それができないなら管理職は無理だと考えるのなら、女性の管理職は決して増えないでしょう。

例えばリーダーシップ一つとっても、その組織、メンバーにあったスタイルがあって然るべきです。誰もが「ああいう」のになる必要はありません。組織の目標、成果に向けて、その時のあなたならではのリーダーシップの発揮が求められていると考えるのが未来的な解です。

2.なぜ女性が管理職になるのを嫌がるのか〜個人の問題

もう一つは、個人の問題です。

インポスター症候群に代表されるように、女性が「自信がないから無理」ということは全く珍しくありません。かの宮沢りえさんですら、トーク番組で「悲しいくらいに自信がない」と言っていました。

周囲でも「自信があるからやる」人よりも「自信がないけどやったらできた」人が圧倒的に多いです。上司も周囲も、自分が思うほど最初から完璧にできると思っていないですし、自信がついたらなんて言っていたら、今世でその日が来るかどうかわかりません。万が一できなかったとしても、「できる」と見立てた人のせいだとズーズーしく思える気持ちでいればいいよと、いつも相談されたときには返しています。

多様な人が働きやすい職場を

最後に立ち戻りたいのは、女性管理職を増やすということはダイバーシティ推進の施策の一つだということです。これまでの男性管理職が大半だった企業の体制を、女性とも分かち合った体制にしていくことが、企業や社会の活力や価値を高めることに繋がっていくからこその策です。

それにもかかわらずこんなに何十年も取り組みながら達成できないのは、推進する側に「やる気がないから」か、「やり方がまちがっているからか」を問うてもいいように思います。仕組みも運用もさほど触ることなく、「女性管理職を増やす」という題目だけで笛を吹いていないか、本気で取り組んでいるのか、引き続きウォッチしていきたいと思います。

私が20年近く前に「女性を活かす」という管理職対象の研修をしている際に伝えていたこと、「女性が働きやすい職場は、多様な人が働きやすい職場である」を、一日も早く過去の言葉にしたいです。

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