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変わりゆく社会。いつでも自分のモノサシを見直す柔軟さを

ビジネスにおける”当たり前”に潜む「人権侵害」

先週末の日経新聞の社説に「企業は人権問題を直視せよ」という意見が掲載されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK257Y10V20C22A2000000/

サプライチェーン(供給網)から労働者の人権侵害をなくすための指針をつくるのは経済産業省。企業が調達や製造の協力先で強制労働などが行われていないかどうかを調べ、予防するための具体策を明示するとのことです。

特にアジアの製造拠点での低賃金・児童労働は欧米を始めとして問題視されるようになって久しく、国際的には企業に法律で義務づける流れとなっています。日本政府はといえば、2020年に「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定して企業に取り組みを促し始めているものの、浸透には遠いと述べられています。そして「政府はしっかりした指針をつくってほしい。企業も自ら供給網の実態をつぶさに点検し、人権尊重に努めるべきだ」と締めています。

ビジネスと人権ー引き換えにされてはいないか

衣服の低価格化の中で高い代償を払わされている労働者の存在

さて、私は過去に「服に対して本当のコストを支払っているのは誰か?」と問題提起をした『THE TRUE COST』 というドキュメンタリー映画の上映会をしたことがあります。そこでこんな意見や感想が聞かれたことを思い出しました。

「人権は大事!人権を無視したような取引は即座に止めるべき」
「確かに大事なことだけど程度問題。発展途上国で経済を回すためには致し方ない部分もある」
「仕事を与えているという面では貢献している部分もある」

ファストファッションブランドの台頭とともに著しく安くなった服。一方でインドやバングラデシュなどの服の生産現場では、労働者達が過酷な労働環境で働き、服が低価格化することに反比例するように高い代償が払わされている実態が描かれています。

ビジネスと人権…皆さんはどう考えますか?

まだ歴史の浅い日本における「子どもの権利」

また以前、子どもの権利条約についての勉強会に参加したことがあります。1989年に国連採択された「子どもの権利条約」、日本では1994年に批准、発効されています。ところが当時の日本の国内法に「子どもの権利」という言葉はどこにも書かれていなかったと、2014年9月から3年間厚生労働大臣を務めた塩崎恭久さんの発言が残っています。

塩崎さんたちは児童福祉法の改正に着手し、2016年には大人目線で書かれていたこの法律に、「子どもの権利優先」「子どもの最善の利益優先」「家庭養育優先」という原則を書き込んだと別の記事で目にしました。

先進国であるとされる日本の子どもの人権。ミドルシニアの私たちにとっては、かなり最近である近年にまだまだ改正しているわけです。信じたくもない児童虐待が増加しているという問題もありますが、大半は「子どもを大事にしている」と言うでしょう。しかし大人の思うとおりに動かそうとする人権侵害的なことが悪意なく身近に存在していることにも気づきたいものです。

「未成年の子どもに権利が必要?」
「これ以上権利なんて認めたら手が付けらない、わがままになる」

こんな間違った理解も未だ横行していると勉強会で伺い、驚いたものです。

果たしてこの社会は人を尊重していると言えるのか

私はこの勉強会に至るまで改めて「人権」について考えたことはありませんでした。ここで示された資料(たまたま私の住む川崎市の資料です)を見て、人権の意味と広さと深さに思い至ったと同時に「あれあれ?私たち大人は尊重されている?」とハッとしました。

「子どもは」を「人は」と置き換えたり「従業員は」と置き換えてみましょう。
企業の中での人権が守られているのか、是非点検してみていただきたいです。


川崎市子どもの権利に関する条例パンフレットp.6-7より

まずは自分とその周辺への「人権」点検を

正直に言いましょう。

冒頭で紹介した記事を読んだときに私が感じたのは、人権を大切に守られていると感じ得ない人が他国のビジネスと人権を考えられるのだろうかということでした。

社会に出てから制定された法律のことは、ニュース等で知ってはいても多面的に考えたり、自分ごととして考える機会は持ちづらいものです。でもそれは言い訳にしかすぎません。ミドルシニア世代の私たちにとって変化する社会をキャッチアップしていくのも務めです。

そもそも自分は人権を保持して生きられているか、関わる人たちの人権を侵しておらず、個々を活かしているか。
例えば上司が部下を呼び捨てにすること一つとっても、人権意識が薄いことの現れと言えるのではないでしょうか。

働き方とか生き方の前に、まずは自分とその周辺への「人権」点検をしたいものです。その先に初めてあるべき論からの「人権」ではない「人権」を尊重した人との関わり、ビジネスが成立するのではないかと考えます。

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