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リスキリング流行の今、自分を幸せにするものを考える

リスキリングという言葉が多く聞かれるようになってきました。

2021年に経済産業省が発表した資料(民間企業からの提言)によると、日本語での検索の変遷は以下のとおりだそうです。

・2020年5月 … 1,470件
・2020年10月 … 2,330件
・2021年1月 … 2,500件
・2021年2月 … 777,000件
近日はどうかと現時点で検索してみた結果は約 9,090,000 件でした。

「リスキリング」は誰のために?

「リスキリング」という言葉のニュアンス

この資料でのリスキリングの定義は

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

と表されています。

ただし前提は、ビジネスモデルや事業戦略が変わるなら人材戦略も必然的に変わる「DX時代の人材戦略=リスキリング」。本資料ではリスキリングを「これからも職業で価値創出し続けるために」「必要なスキル」を学ぶという点が強調され、個人が関心に基づいて「さまざまなこと」を学ぶこととは一線を画すとされています。

類似の言葉であるアップスキリングが一般的に「仕事の基本的な内容や職種は同じまま、スキルをアップデートすること」を指すのに対し、リスキリングは「現在とは異なる職種や業務に就くために行うスキルアップである」というニュアンスも伝わります。

効果的なコミュニケーション能力や信頼性の高さ、寛容さなど、時間をかけて身に着けた対人関係の特性などのソフトスキルの重要性を否定はしない。と言いつつも「ソフトスキルの方が重要と言うのは、『デジタルを理解しない、詳細はわかっていないこと』からの逃げの可能性がないか考えるべき。ソフトスキルだけが高くてもデジタル技術を実際に扱えなければ、生み出せる価値は限定的?」とまで記されています。

リスキリングの主体は誰か

DX化の重要性やその効力は歴然、そのための人材が不足していることは明らかです。特にこの分野での人材育成が学校等を含めて他国に比べて遅れていると思われる日本で、リスキリングによって「デジタル技術の力を使いながら価値を創造できるように多くの従業員の能力やスキルが再開発される」ことは望ましいと思います。

しかし私はここで違和感を持ちました。

それは本資料が経産省への提言をとおして「リスキリングにたいして一義的に責任を負うのは企業」との認知を広げて、そのためのプラットフォーム構築と資金投下を始めてもらいたい」というゴールがあるからでした。間違っているとか反対というのではありません。「企業が主語になっていること」に私の違和感の元はあったのです。

冒頭の言葉の定義を再掲しますが、リスキリングは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」。本資料から感じるのは「今の職場で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得させること」というメッセージ。

アンラーニングによる「メタ認知」のススメ

この違和感に気づけたのは、以下の孫泰三さんのインタビュー記事に目を通したことでした。

孫泰蔵「AI時代、リスキリングしなくたっていいんじゃない?」

一部を転載します。

「スキルを身につけて食っていく」というのは、産業革命以来、人間を機械として扱ってきた考え方です。AIがどんどん進化していく今後は、そのパラダイムを超えた考え方をしていかないと、人間はこれから不幸になってしまうんじゃないかと思います。

これからは「どんなスキルを身につければいいのか」ではなく、「どんな生き方、働き方をしていけばいいのか」と考えることが重要になってくると思います。

アンラーニングの第一歩として大事なのは、まずこういったことを考えてみようとすること、今の世界だけがすべてじゃないんだと考えることです。今とは違う社会のあり方を考えることはできます。誰でも、考えてみようと思えばね。

今の社会が自分にとって絶対的なすべてだとは思わないこと。いろんな可能性の中の一つでしかないと認識すること。それを「メタ認知」といいますが、それが重要です。それが出発点になります。

本内容が描かれているのが以下の著書。(購入予定)

『冒険の書 AI時代のアンラーニング』 (著者:孫泰三 出版社:日経BP)

「守・破・離」から「離・破・守」へ

道と呼ばれる古来の学びには「守破離」というものがあります。剣道や茶道などで、修業における段階を示したもので

「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階とされています。(コトバンクより)

私たちはリスキリングの意味、効用を考えると同時に、アンラーニングにも目を向けるべきではないでしょうか。

何が自分を幸せにするのか、何をして生きていくのかを考えていくことが必要なのではないかと思います。

それはすなわち学びの逆の「離破守」。

「離」は、現在保有する考えやスキルから離れ、新しいものを取り込み、生んでいこうとすること。
「破」は、様々な考えや社会の動きに触れ、良いものを取り入れ取捨選択すること。
「守」は、取捨選択したものから自分自身の軸として大切にするものを守り育てていくこと。

自分の幸せは自分でつくるもの。まずはアンラーニングから。

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