【未来航路塾レポート】ユニキャリアなひとに会う〜「竹紙」仕掛け人N氏
昨夜は、ユニキャリアが運営するミドルシニアが未来を再発見できるコミュニティ「未来航路塾」の月例会。様々なソーシャルアクションをされている製紙会社に勤務のNさんをお招きしてお話を伺いました。
仕事なんてどうせつまらないもの、どこで仕事をしたって同じ、やりたいことなんてない。生活するためにしなければならない言わば苦役。どこに入社したって変わらないって思っていたし、就職活動もしたくなかったから、コネで入社したと笑うNさん。新卒で入社後、予想通りに面白くない毎日を「なにもやらないくせに文句ばかりで過ごしていた」と振り返り、話し始めました。
「竹紙」仕掛け人Nさんのユニークな活動の数々
「竹紙」が生まれた背景
全国に広がる放置竹林は、健全な森林にも侵蝕して生物多様性を失わせる危険性があるとのこと。Nさんは「竹林管理で伐採された処分に困る大量の竹を紙の原料にできないか」と着目したある一人の行動から始まった事例を核に、「竹紙」と名付けて企業ブランディングを勝手に始めました。
今では年間1万トン以上(日本の竹消費の半分の量)の竹が紙になる状況へと進展しています。
まだSDGsが生まれる前、CSRという言葉も一般的でない頃から竹紙の社会的価値を伝えてきたのです。
しかし当時、社外では理解されても社内では理解されず逆風だったそうです。昨今では、取り組みを伝えるための最終商品も制作し、竹紙を通じたソーシャルアクション「MEETS TAKEGAMI」が共感されたり、ここ10年以上、環境や社会貢献分野の各種アワードを毎年獲得したりと高い評価を受けています。
HPのトップ画像には竹が使われ、代表者挨拶にも「竹紙」が語られるまでになった今、自社のブランディングに寄与しているというのはNさんの自負以上のものだと思います。
自社が素材メーカーということもあり、商品に採用されないことには「竹紙」が知られることはありません。
しかし待っていても進まないので、Nさんは自ら竹紙の商品を企画し、時には百貨店等での週末のイベントに自ら出向いてワークショップを開催するなどしています。この取り組みの意味についてこんなふうに仰いました。
自分の仕事の中に余計なソーシャルグッドを取り入れることで社会が良くなる。
これは誰でもできるはずだと思ってる。
「個人が起点で社会を良くする好事例」を伝えることで、ソーシャルグッドを起こす人が増えることに期待しているんだよね。
ユニークな活動1〜銀座ソーシャル映画祭
Nさんの活動は竹紙ブランディングだけにとどまりません。
頼まれもしないのに「社員の意識向上のため」と2013年から始めたのが銀座ソーシャル映画祭です。当初は年に2回程度開催できればという気持ちだったようですが、次回はなんと134回目。社内のメンバーの協力が得づらく、運営のほとんどを社外の有能な人たちの善意で開催し続けて(Nさん談)いるそうです。
ユニキャリアの岡田も過去にはNさんのフォローをいただき「シネマベリ二子玉川」という自主上映会を3年間開催していました。
Nさんにとっての映画上映会には、こんな意味合いがあるとのことです。
1回目を終えてみると良い人たちが集まったんだよね。
これは場を提供するだけでも社会に役立つと確信して続けることを決意した。
自ら考えて行動する人が増えれば社会は良くなるのではないか。
人を変えることは難しいが、考えるキッカケくらいは与えることができると信じて続けてるよ。
ユニークな活動2〜so good coffee
さらに活動の幅を広げるNさん。フェアトレードの安全で美味しいコーヒーを飲むための背景を知り、自ら豆を選別して洗って焙煎するという取り組みを始められています。最近では寄附つきの商品も提供。
社会にとっていいことをするだけでなく、自分オリジナルの実商品を持つことで、できることが広がります。何よりも次のキャリアの実験にもなるとニヤッとしたのが印象的です。どんな構想があるのでしょう。
ユニークな活動3〜プロギング/running + ゴミ拾い
プロギングはプラスチック汚染への懸念が高まったころから始まったゴミ拾い(PlockaUpp)とジョギング(Jogging)を合わせた活動。1人が毎日1個のゴミを拾ったら、単純計算で毎日1億個以上のごみの回収ができる、そんな思いに端を発してこちらも継続中とのこと。
Nさんの転機。会社のリソースで「ちゃっかりやっちゃえ」に
いかがですか。この行動力。
Nさんは「自分は特別な人間じゃなくて、誰だってやればできるんだって!」と言います。
「どんなきっかけで今のように活動し始めたのか」という質問への回答は驚くべきものでした。
「もういやだ!会社を辞めよう」と決心したことです
冒頭にも書いたように仕事が嫌で嫌でたまらなかったNさん。言われることをそつなくやるだけの仕事にやりがいも面白みもあるはずがなく、歴史ある会社の風土にも当然馴染めずにいました。40代半ばに「もういやだ!会社を辞めよう」と決意。思い切って妻に話したときに返ってきた言葉は「イヤならやめればいいじゃん」だったとのこと。
そのひとことで、どうせ辞めるなら「やりたいこと」をやって辞めようと【覚悟】が芽生えて気持ちが転換。「文句ばっかり言って何もやらない人」から「文句は言うけど言い訳せずにやるひと」となって捨て身で始めたのが竹紙プロジェクトでした。
壁にぶつかりハードルを回避したり破ったりしながら挑戦していくうちに、いつしか守りから「やりたいことをやる」「チャレンジしたい」態勢になったと言います。
会社を生活の糧を稼ぐ場「だけ」と思っていた当時から、会社のリソースで自分のやりたいことも「ちゃっかりやっちゃえ精神」になってから、「自分もやればできる」という自覚を持って挑戦し続けるループの中にいらっしゃるように拝見しました。
やりたいことを見つめて
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