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現実味を帯びる週休3日制。働き方とその評価のあり方を見つめる

週休3日が現実的なものとしてニュースなどで目に触れるようになってきました。

これは4月19日の日経ビジネスの記事「日立やNEC、人材獲得の切り札は「週休3日」の見出しです。

日立製作所は2022年度中にも週休3日を可能にする新たな勤務制度を導入する。NECやパナソニックホールディングス(HD)も検討中だ。電機・IT(情報技術)業界で「週休3日」導入が広がる背景には、人材の激しい獲得競争がある。

4月14日の毎日新聞でも「週休3日、導入続々 日立、パナソニック… 多様な人材確保へ、企業急ぐ」として掲載がありました。

このブログを読んでいらっしゃる方は1週間のなかで仕事と休みをどのように按分されていらっしゃるでしょうか。

業界や職種によっては、もともと完全な週休2日ではないという方あるかもしれませんが、昨今ではこれまでの週休2日という制度から週休3日へという流れが見え隠れしはじめています。今回はここに少し触れてみたいと思います。

ちなみに週休2日と一口に言っても、まずは曜日の記載がない限り土日と限定するものではありません。さらに「週休2日制」は、1ケ月の間に2日休みの週が少なくとも一度あり、それ以外に1日以上休みがあること。つまり第2週だけ週に2日休みで、仮に他の3週に休みが1日だけだとしても「週休2日制」だということです。一方で「完全週休2日制」は年間を通じて毎週2日間休みがあることを指します。

話題になったパナソニック社(下記参照)も「完全」という記載ではないので、週休3日×4週の12日休み、つまり1カ月を30日として18日働くというわけではないかもしれません。

5000人に先行導入 週休3日制、今年度中に パナソニックHD

国の考えるポストコロナの成長基盤

一企業の人材戦略上のユニークな取り組みではなく、このようにあちこちで見られる動きは国の施策と繋がっています。

令和3年6月18日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2021』に、ポストコロナの成長基盤をつくるべく「成長を生み出す4つの原動力の推進」が示されています。

(2つの図は以下より抜粋 内閣府経済諮問会議資料 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/summary_ja.pdf

それを支える基盤づくりとして挙げられているのが以下です。

多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実

別の厚生労働省の資料には(労働条件分科会に関係する部分抜粋)として
(5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実
(フェーズⅡの働き方改革、企業組織の変革)についての記載があります。

労働時間削減等を行ってきた働き方改革のフェーズⅠに続き、メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り、従業員のやりがいを高めていくことを目指すフェーズⅡ(*101)の働き方改革を推進する。
* 101 メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換、より効率的で成果が的確に評価されるような働き方への改革。ジョブ型の雇用形態とは、職務や勤務場所、勤務時間が限定された働き方等を選択できる雇用形態。

ジョブ型正社員の更なる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組む。裁量労働制について、実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行う。兼業・副業の普及・促進のため、ガイドライン(*102)の周知、取組事例の横展開等に取り組む。
選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。その後の施策に反映させる。
*102「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月1日厚生労働省改定)

「ウェルビーイング」につながるか

要するに成長戦略を支える働き方改革の一つとして大企業を中心に導入の検討が始まっているというわけです。働く側のワークライフバランスの充実とともに、昨今存在感を表しているキーワード「ウェルビーイング(身体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態にあること)」につながる制度になりうるとも言えます。

企業においてはワークライフバランスを重視した人事制度等による人材の確保や、制度をきっかけとした業務改善や生産性の向上といった効果を期待していることと思います。

働く時間の柔軟性が給与に与える影響は

とはいえ働く時間と給与の密着関係が長く続いているため、休みが増えれば給与が減るというゼロサム的な心配も出てきます。調べてみると3つのパターンがあるようです。

  1. 労働時間、給与維持 (日本マイクロソフト株式会社など)
  2. 労働時間減、給与減 (株式会社みずほフィナンシャルグループなど)
  3. 労働時間は変わらず出勤日に割り振り、給与変動なし (株式会社ファーストリテイリングなど)

それぞれの企業の思惑で導入及び検討が進んでいるようで、今後、働く側、雇用側にとってのメリット、デメリットがますます見えてくることと思います。

場所にこだわらずとも成果は出せる。では「時間」をどう考える?

個人的にモヤッとすること。それは先にも述べた働く時間と給与の関係という枠組みのままであるということです。

工場のラインで、1分間に何がどれだけできるかというのとは違い、人間のパフォーマンスは時間で測れることと測れないことがあると思います。コロナ禍で、働く場所に拘らず成果を出すという取り組みは、一定の成果を上げたと言えるでしょう。

次は時間。決められた時間に決められた仕事をして給与を得る仕組みから、成果とともに時間も考慮するという評価の仕組みもセットで考えていくことが、新たな働き方に繋がるように思うのですがどうでしょうか。

そして好むと好まざるに関わらず休みを得た時、あなたは何に時間を費やしますか。

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